2004 微笑みの国・タイを歩く(1)
タイ北部の秘境、メーホンソンからさらにソンテウ(トラック)とボートに乗ってカレン族(首長族)の村を訪ねる
物質的な豊かさではとらえられない、でも、しっかりと生きている人たちがいたタイの少数山岳民族、首長族の村
![]()
家庭には電気やガス、エアコン、テレビ、パソコン、ステレオ・・・・ 物質的な豊かさに慣れきった私たちからみると、よく暮らしているなあとさえ思える村がある。
でもよくみると、あくせくせずにのんびりと生活しているさまがあった。女性たちは、ときどき訪れる観光客相手に手づくりのグッズを売っている。男たちは、なにをするでもなくごろごろと寝転がったり、所在なげに外を眺める。30数度という高温は、確かに労働するには向いていないのかもしれない。
あくせくと競争に追い立てられ、そのなかで「勝ち組」にならなければいけないとばかりにあせる私たちと、彼らのゆっくりとした生活と比べて、どちらが豊かなのか、これは比較自体が難しいなと感じたのだった。
しかし、日本とは全く違う電気もガスもない村の子どもたちでも、子どもたちは屈託なく明るい。私と一緒に写真に写ってくれた子どものピースサインには、思わず微笑んでしまった。
こういう子どもたちが戦乱に巻き込まれない世界にしていきたい。そう思わずにはいられなかった。
![]()
![]()
テレビで1、2度みたことがある「首長族」の女性たち。小さい頃から首に金属の輪をつけていき、それを2枚3枚とふやしていく。首が長いということが魅力とつながるのかどうか。そういう村がタイの北部にあると知り、これはぜひ訪れてみたいと思った。しかしここは秘境。観光スタイルで行くことは行けるが、たどりつくにはややたいへんだ。言葉がわからなくて1人で行くとなると、けっこう度胸はいる。
首長族の村はメーホンソンからさらに奥にあるのだが、バンコクから直接に行く便はない。まず、北部の都市チェンマイまで行き、そこから、メーホンソン行きの便に乗り換える。バスで行くことも可能なのだが、チェンマイから7時間かかるというので、短期間の旅行のばあいには飛行機を利用する以外にない。飛行機だと35分。片道料金が800バーツ弱なので、日本円にして2400円弱ということになる。タイ国内の航空運賃は、日本に比べてかなり割安だ。
私が予約したのは、チェンマイからの第1便、TG190便。午前10時発で、当日、メーホンソンを17時5分発の最終便でチェンマイに引き返す計画だった。しかし不安があった。それは、メーホンソンは山岳地帯の盆地であるため、頻繁に霧が発生し飛行機が飛ばなくなるということだ。とくに朝はよく霧が出るらしい。
前日、バンコクのツアー会社での情報だと、TG190便は定刻そのものが12時10分発に出発時刻が変更されたという。10分程度の変更ならばともかく、同便で2時間以上も定刻が変更になるなんて、日本じゃ考えられないことだった。「郷に入れば郷に従え」タイ流の変更を受け入れる以外にない。それでも、欠航になることも多いというのだ。
チェンマイ空港の国内線ターミナルに11時頃に行き便を待つ。その日は飛ぶことは飛ぶらしい。しかし12時を過ぎても搭乗案内はなかった。
「TG190 delayed」と、とにかく片言の英語で係員に聞く。
「No delayed. few minutes」と、係官は答えたので安心するのだが、結局は、定刻より30分も遅れて出発となった。日本の感覚での「few」は10分以内なのだが、外国ではそうとはかぎらないということなのかもしれない。
メーホンソン行きはプロペラ機だ。私はプロペラ機に乗るのは初めてなのでいささか心配になったが、ここでやめるわけにはいかない。写真を見てもおわかりのように、いかにも地方のマイナーな路線という風情であるが、またそこがいいのかもしれない。
![]()
![]()
午後1時ごろにメーホンソンに到着する。
ここから4時間でここに戻ってこなければならない。かといって、首長族の村まで行くための手だては何もできていなかった。「地球の歩き方」というガイドブックを読むと、ソンテウ(小型トラックの荷台に人が座れるように改造したもの)をチャーターしボートをチャーターしろと書いてある。とにかく、メーホンソン市内のツアー会社へ行ってみた。
片言の英語を駆使して、「首長族の村に行きたい」「今から行って、5時のチェンマイ行きの飛行機に間にあうように帰りたい」ということを、身振り手振りで語った。同じ人間なのだから何とか通じるものだ。
ソンテウのチャーターが500バーツという。いくらか割り増しでふっかけられているかなという感じはした。3時間程度をチャーターするわけだから、ふっかけられているとしても倍にはなっていないだろう。それに、日本の感覚だと1500円弱でしかないわけだから、「OK」と了解する。
ソンテウは田舎の道を山奥へと向かっていく。運転手が襲ってくることはないかと不安は残るが、とにかく度胸でいく以外にない。しばらくすると船着き場へついた。ここから、ボートをチャーターして村に行くという。ボートのチャーター料金は500バーツ。これはガイドブックに記載されていた金額と同じ。上の写真が、私がチャーターしたボートである。船尾には動力がついていて、けっこう早く川を上ってくれる。
![]()
![]()
熱帯の川という風情のところをボートは進む。途中には、象が水浴びをしていたりなど、ちょっと日本では見かけられない光景だ。
日本円にすると、チャーター料は3000円弱。高くはない。でも、タイの感覚でいえば、1人でチャーターするなどはぜいたくなのだろうなと思ったものだ。
![]()
![]()
球磨川下りとか最上川下りのような観光ラインとはちがう。熱帯のタイを流れるパーイ川を進むボートでは、船頭さんの余興があるわけでもない。
30分近くたっただろうか。首長族(カレン族)の村が見えてきた。考えていたより小さな村であり、質素なつくりの家々であるようだ。
![]()
![]()
ボートを下りると、舗装などされていない土埃の坂道を上がっていくが、その両側には民芸品を売っているお店が並んでいた。入村料が250バーツ(1バーツ=2.8円)。この入村料が、彼らの生活での現金収入になる。そして、民芸品を売る代金も貴重な収入なのだろう。
左の写真の女性は、輪をいくつつけているのだろうか。歳を経るごとに輪の数を増していくというから、写真のようなある程度の年齢の女性だと、こんなにたくさんの輪をつけることになっていくのだろう。
![]()
![]()
![]()
何人かの首長族の女性とツーショットさせていただいた。みなさん、とても人なつっこくて、快く撮らせていただいた。こうやって、観光客のカメラに応じるのも、この村が「首長」という奇習で知られるようになったがゆえの商売なのかもしれない。
世界には、本当に、いろいろな風習をもった民族が住んでいるのだなと、あらためて感心させられたのだった。私たち日本人の感覚だけで「世界を知る」ことはできない。私たちとはちがった感覚と生き方で生活している人たちがいるということ。そして、物質的に豊かではなくても、インターネットができる環境にいなくても、人々はしっかりと生活しているということを思い知らされた。
そういえば、チェンマイのインターネットカフェに入っている人たちは、ほとんどが欧米人だったような気がする。
インターネット、テレビ、美味しい食事。こういった生活を享受できている人たちは、世界ではまだまだ少ないのかもしれない。だけど、享受できていないからといって「幸せではない」生活とは言えないのだと思った。先進国の価値で人々を見ていくのは危険だと思い知るきっかけになった。
![]()
私が訪問した首長族(カレン族)の村のメインストリートが左の写真であるる。カレン族の村はいくつかあって、私が行ったところは、メーホンソン市内から比較的近いところの村だ。
「地球の歩き方」のガイドブックによると、パーイ川沿いのナンピェンディン近くの村というふうに記されている。
写真の通り、藁葺きでガラス窓などもない家が、土埃のする道の両側に並ぶ。熱帯に属しているため、ガラス窓で閉じた空間にしなくても、過ごしていくには困らないのだと思う。
この首長族の村を旅行したい方は、メールをいただければ、行き方のコツや注意点などをご連絡します。
※このページの写真は、デジタル一眼レフのニコンD70とAF-Sニッコール18−70mmの組み合わせで撮っています。