留美子のひとり鉄道旅(31)

 センスのいいデザインで
   がんばるJR九州
    
  


別府からこの特急に乗ってきました.さらに、新八代駅まで「鮎屋三代」という駅弁を買うべく継続して乗っていこうとしています

←熊本駅で出発を待つ九州横断特急
 国鉄が分割民営化され、JRになってから20年を超えました。付け替えるかたちで赤字は残っているし、地方のいわゆる「赤字路線」はどんどん廃止されていき、その地域の「足」を奪ってしまうなど、JR化が万々歳だったとは考えませんが、ここではその議論はさておき、旅行者としてのJRユーザーにとって、JR九州が元気にがんばっているという一端を感じたことを、ちょっと書いてみたいと思います。
 みなさんは、JRの各グループのなかで、国際航路をもっているJRを知っていますか?利益をあげているJR東日本や東海、西日本ではなく、なんとJR九州なのです。 

ごらんの通り、ウッディにきめた車内です.ちょっと他のJRではみられません

 博多港と韓国の釜山港との間に、ビートルという愛称の高速船ジェットフォイルを就航させているのです。さらには、韓国国鉄とも連携し、釜山とソウルとをむすぶ高速新幹線KTXとワンセットにしたチケットを発売するなど、ユニークな営業路線もとっているようです。
 JR九州の鉄道車両も、他のJRと比べて、なかなか斬新でセンスがいいものが多いと思いました。
 車両ボディを原色の真っ赤にするなんて、なかなか他社では真似できません。中間色を取り入れたブルーやグリーン、赤を使うときでもホワイトと組み合わせて使うなど、常識的な「普通」の配色が多いのですが、JR九州では真っ赤の特急が活躍しています。どぎつい配色もJR九州がやると、なんとなくセンスよくなるので不思議なものですね。
 写真の「九州横断特急」もそう。別府から豊肥本線(あそ高原線なんて愛称もつけられている)を経由して熊本へ。さらに足を伸ばして、鹿児島本線で八代へ。そこから肥薩線で人吉までを結ぶのが、この九州横断特急。新製造のディーゼルカーではなくリニューアル車なのですが、その真っ赤なボディは人目をひきます。

この写真は、自分でもよく撮れたかなあと思っている写真です

 ボディ色ばかりではありません。愛称も、他にはないネーミングです。普通は、"のぞみ号"だとか"ひかり号"だとか、地名・事物・生き物などの愛称がつくものです。でも「九州横断特急」ってネーミングはどうでしょうか。愛称というよりは「九州を横断する役目の特急」という機能をあらわしていて、愛称にはふさわしくなさそうに思えるのですが、JR九州はこれを愛称にしちゃいました。
 熊本と大分県の別府を結ぶ列車は、ずーーっと前は「急行・ひかり号」なんていうのがあって、東海道新幹線ができたときにこの名称はとられてしまいました。そのあとは「急行・火の山号」となり、特急に格上げされたときに「あそ号」になりました。
 数年前、別府から来ると熊本が終点だったのを、さらに人吉まで延ばしたのにあわせて「九州横断特急」とネーミングしたようです。 最初に聞いたときには違和感があったのですが、こんな愛称は他のJRではないだけに、今では、逆にセンスよく思えてくるので、人の感覚なんて不思議なものですね。
 車両内の装飾もなかなか粋です。JR九州はウッディを基調とした車内装飾というコンセプトがあるのか、いろいろなところに木が使われています。床や肘掛けが木だったり、窓側のスペースに木を使っていたり、はたまた、九州新幹線「つばめ」だと、座席を木にしたり、窓のブラインドをプラスチックのかわりに木でつくったりと、いたるところに木が使われているのです。

鹿児島本線と長崎本線の分岐駅である鳥栖駅(とすえき)から肥前山口まで行く普通列車です

普通列車なのに、車内はウッディにきめています.JR九州のコンセプト?

                      いさぶろう・しんぺい号これは2006年に撮影した肥薩線の人吉〜吉松を結ぶ、快速の「いさぶろう/しんぺい号」です

                              はやとの風ブラックのボディってちょっとびっくりですよね

 普通列車でも座席を木にしている路線もあります。私が乗った、鳥栖から肥前山口に向かう長崎本線を走る2両編成の普通列車のディーゼルカーがそういった座席でした。
 もちろん、まだまだ、ずっと前につくられたディーゼルカーも使われていますから、そういった車両は、ありきたりの装飾ですが、新造車両に置きかえるときに木を基調とした車両に換えているのかもしれません。
 古いタイプのディーゼルカーも、JR九州のリニューアルにかかると、とてもセンスよくかわってしまいます。たとえば、九州横断特急と接続するようなかたちで、人吉と鹿児島の吉松を結ぶ山岳列車の「いさぶろう号」「しんぺい号」は、ボディは深紅、車内は座席のみならず床にも木が使われるなど、基調は「木」。吉松から鹿児島中央までを走る特急「はやとの風」は真っ黒なボディに木をベースとした内装にしているなど、他のJRとは一風変わっています。「はやとの風」は、もともとは、古いタイプの急行型のディーゼルカーをリニューアルしているようです。急行型をリニューアルして特急車両らしくしてしまうのですから、なんともすばらしいアイデアです。

三角線(みすみせん)の三角駅で撮影

これもも三角線(みすみせん)の三角駅で撮影したもの.赤いタイプとこのデザインのタイプの2つのタイプのディーゼルカーが走っています

三角駅構内で撮影.いかにもローカル線の終着駅といった感じ

ここは三角東港.巻き貝風の展望塔がユニークですが、昔に比べると寂れてしまいました.ここから4qほど離れたところに三角西港という港があります.現在は使われていませんが、明治時代の港で、今は明治期の建物を保存しレトロな風情の公園としてちょっとしたいい雰囲気のスポットとなっています

 乗客があまり多くなかったり、観光路線にはなりにくい、それこそ「ローカル線」には、まだウッディで統一された座席とはいかない車両も走っています。
 九州の熊本在住の方でないと、ほとんど知らない路線として「三角線(みすみせん)」というのがあります。熊本〜三角(みすみ)を結び、三角港から島原港まで、有明海を横断するフェリーのターミナルとして、以前はそれなりに賑わっていたのが三角駅です。でも今は、熊本市の中心部からもそんなに遠くないところに熊本港ができ、その港に、有明海横断の主役をとられてしまいました。三角港からの有明海横断フェリーは2006年で廃止になったようです。

新八代駅は、在来線と新幹線が交差していて、在来線を途中から分岐させて新幹線ホームに引き込んでいます

 さて、JR九州といえば、新幹線つばめが走るようになったことがトピックでしょう。ただ、博多と鹿児島中央は全通しておらず、博多〜新八代までは在来線を走る「リレーつばめ」、新八代〜鹿児島中央間に新幹線つばめが走っているのが現在の状況です。新八代で、在来線と新幹線を乗り換えるのですが、これが、他の新幹線にはないユニークな乗り換え方法をとっているのです。同じホームの対面で乗り換えることになっていて、そのため、乗り換え時間は2分ほどで、ほとんど待つことなく乗り換えられるというもの。
 左の写真のように対面で乗り換えます。ちなみに、リレーつばめは、ヨーロピアン的なフェイスをしているJR九州の看板列車です。

精悍なマスクをしたヨーロピアンスタイルの電車だと思いませんか? ただ、ヨーロッパではこんなマスクの電気機関車なのですが、日本では電車の先頭車です

リレーつばめ号の車内です.前後の座席間隔も広くゆったりとしています