留美子のひとり鉄道旅(21)

 
最安区間切符で
      大回りを楽しむ
  


←八高線「高麗川〜高崎」のディーゼル列車
 「大回り」という鉄道の乗り方を知っていますか?
 大都市部には「近郊区間」という設定があって、この区間では、実際に乗った線区の運賃ではなく、A地点からB地点までの最短距離で運賃を計算するというルールがあるのです。ただし、他の線区を乗って最短距離の運賃が適用されるといっても、あたかも一筆書きのように、同じ駅を通ることは許されません。このルールを使って、乗りテツ(鉄道マニアで列車に乗ることを楽しむというタイプ)と言われている人たちのなかには、最安区間の切符でできるだけぐるっと回って乗車するという楽しみをする人たちがいます。
 乗るっていったって、そうそうに車内検札があるわけじゃなし、どのように乗ろうが最短距離の運賃でだいじょうぶだよ、というのはここでは除外します。それはキセルであって正規に許された乗り方ではないからです。どんなに車内検札があっても文句言われないという範囲で乗っていこう、というのが「大回り」の趣旨です。
 5月5日付の朝日新聞に、執筆記者による「大回り」体験記が載っていました。

 よしっ、それじゃ私も体験してみようと思いつき、さっそく乗車してみました。東京圏は都市域が広いこともあって、近郊区間はかなり広いのです。気合いを入れれば、130円の最安区間の切符で650qぐらい乗れるらしいのですが、最初の体験ということもあって、小手調べ的に大回りならぬ小回りで乗ってみました。
 起点は立川。立川から日野までの150円の切符を買います。
 立川→(青梅線)→拝島→(八高線)→高麗川→(八高線・ここは非電化ディーゼル区間)→高崎→(両毛線)→小山→(水戸線)→友部→(常磐線)→上野→(山手線)→東京→(東海道線)→茅ヶ崎→(相模線・横浜線)→八王子→(中央線)→日野....と乗車するはずでしたが、家を出るのかお昼ごろになったこともあって、途中で断念、コースを縮めることになっちゃいました。
 高崎線を使って湘南新宿ラインで新宿までもどり、中央線で国立まで行くという、計画の半分以下の距離に修正です。
 この場合の注意点は、八高線のディーゼルカーを高崎まで乗ってはだめだということ。なぜかというと、倉賀野と高崎間は、八高線のディーゼルカーと湘南新宿ラインが併走するため、この間を乗れば一筆書きにならないからです。    ディーゼル列車車内→

 ここは倉賀野駅で下車する必要があります。
 なんせ150円の切符で乗っているわけですから、グリーン車に乗ってグリーン料金の750円(休日・駅で購入の場合)を払ってもたいしたことではありません。ロングシートで通勤気分を味わっては小旅行をした気分にはならないものです。幸い、八高線のディーゼルカーにはボックス席部分があって「旅している」という雰囲気を味わえました。せっかくですからここはグリーン料金を奮発です。
 ここで困ったことが...高崎線の倉賀野駅のホームには、グリーン券の券売機がないのです。改札口の外にある券売機で買う必要があったのです。改札から外にでると、その時点で、立川からの倉賀野までの追加料金を精算されることになるわけで、これは避けたいもの。
 ものは試しと、駅員に「大回り」している話をして、グリーン券を買いたいのだがと言うと、有人の改札場所を臨時に出させていただいて、外の券売機で購入することができました。

 グリーン車には、人はほとんど乗っていません。私が下車した新宿駅からはある程度乗ってきましたが、席が埋まることはないようです。
 もちろん眺めがいい2階席。途中駅までは独占状態でした。
 今回は、急に予定を変更して、高崎駅までは行きませんでしたので、駅弁を買うことはできず缶コーヒーで我慢。駅弁が売ってある駅を通るならば、その地の駅弁を購入して、グリーン車のゆったりとしたテーブルを使って、車窓から景色をながめながらお食事ということも可能です。通勤用のロングシートで駅弁を広げるのはなかなか勇気が要りますが、グリーン車だとそんな心配もなし。
 約2時間弱のグリーン車の旅を優雅に過ごすことができるのです。鉄道に「乗ること」を楽しめれば、こういう楽しみ方もあるのですね。
 ちなみに、高崎から茅ヶ崎まで乗ることができれば、3時間弱も汽車旅を楽しめ、しかも、130円+750円ですむという、なんともお得な旅なのです。
 鉄ちゃんと言わずとも、普通の人だって楽しめるのではないでしょうか。おまけに、八高線のディーゼル区間は、東京近郊でもローカル線気分を味わえるのです。