留美子のひとり鉄道旅(11)

 首都圏から日帰りで行ける
  素朴なローカル、水郡線


←単線のためすれ違いで停車した常陸大子駅にて
 鉄道の日記念フリーパスってご存じだろうか。
 10月14日の鉄道の日の記念として、10/1〜15まで、JR全線普通列車にかぎり乗り放題というパスである。要するに青春18きっぷと同じコンセプトのものだ。ただしこちらの方が少し高い。1回(人)3060円で3回分が1枚のきっぷになって9180円の設定となっている。メリットは青春18きっぷに比べて知名度が低く、それほど混まないというところだろうか。ただし、ムーンライトながらの指定券はさすがにプラチナチケット。1週間前予約では完全に満席状態だった。
 そこで、行き先を変えて、福島県の郡山から茨城の水戸とを結ぶ路線に乗ってやろうと考えた。ディーゼル車で単線、典型的なローカル線だ。

 3000円格安であっても少しでも快適にと、新宿から郡山に向かうときは、途中の黒磯まで走っている臨時の快速電車フェアウェイに乗ってみることにした。この電車は、新宿〜新潟を夜行で結んでいる快速電車のムーンライトえちごの車両が、昼間が空いているのを利用した使い回しの快速である。ムーンライトえちごのレディースカーの車両もそのまま残っているが、フェアーウェイではレディースカーを設定していないので、男性であっても1号車になった場合には、えちご号のレディースカーを使うことになる。他の車両よりやや快適だ。快速なので普通列車専用のパスでも指定をとっていれば乗れる。指定料金は510円。
 もともとは、国鉄型の特急車両であり、この型は今でも現役でバリバリ走っている。もっとも、塗装色を変えたりフロント部のマスクを洒落た見かけにしたりと、リニューアルしている車両も多いので、同一型とは気づかない場合もあるが、けっこう多く走っている特急車両だ。
 旅の風情もなにもないロングシートの電車で行くぐらいだったら510円で特急車両に乗れる快適さは捨てがたい。東京から宇都宮までは、普通電車のグリーン車を使う手もある。普通車型のフリーパスはグリーン車には乗れないのだが、例外として、自由席タイプのグリーン車には別途グリーン券を買いさえすれば

乗れるという規則がある。一般にはグリーン車は指定席なので全国的には乗れないというのが基本なのだが、首都圏を走る普通電車のグリーン車は自由席となっていて、これには乗れるというわけだ。750円。ただしこれは、乗車前に駅でグリーン券を購入しておいた場合の価格。車内で買えば200円割高になる。JR東日本が発売しているSuicaカードを利用すると、磁気グリーン券となって、物質としての券ではなく、Suicaカードにグリーン情報が記憶されるというしくみになっている。このカードを、グリーン席上部の読みとり機にピッと触れればそれでOK。車内で席を替わることも自由。再度ピッとやればよい。同時にそれまでの席は空いたというサインに変わる。1度使ってみるとおもしろいと思う。
 グリーン席の750円か、特急車両の普通車指定席の510円か。迷うところだ。
 フェアーウェイは黒磯まで行く。そこからは、普通列車を乗り継いで郡山まで。この間はだいたい1時間。
 郡山駅の水郡線のホームはわかりづらい。東北本線上りホームと同一ホームなのだが、東北本線を待っている場所にいてもいつまでたっても水郡線の列車はやってこないだろう。ホームの前方にずーーっと歩いていったところに、水郡線専用のホームがしつらえられているのだ。しかし、ホーム番線は東北本線の

列車番線と同じ番線の表示になっている。一応、案内表示はでているのだが、焦っていると、そういう表示は目に入らない。もっとも、ローカル線は生活列車でもあるわけなので、いつも利用している人にとっては、別段ややこしくはないのだろう。
 列車はディーゼル音を響かせながら速度を増していく。新型のディーゼル車両らしいので、国鉄型の車両に比べて、心持ち速いような気がする。車内は、ロングシート部分と、4人席のボックス席・2人向かい合わせの席が混在している。ロングシートではない部分がそれなりのスペース分あるので、旅情はまあまあ保たれているといったところだろうか。もっとも、国鉄型の旧急行ディーゼル車両を利用した列車の方が、旅情をもっとかきたてる気はする。
 途中、常陸大子の駅が中間点あたりで、この次の駅が袋田駅。ここは、袋田の滝に行くときのもよりの駅だ。水戸から袋田駅までは以前にも来たことがあるのだが、郡山〜常陸大子の線区は今回が初めての乗車だった。
 刈りとった稲穂を天日乾燥のために干してある光景がつづくのが、都会では見ることのできない「田舎の風情」だった。
 水戸駅に17時過ぎに到着し、そのあとは、常磐線の普通列車で上野駅までもどる。これが今回の日帰りローカル線の旅の旅程だ。