留美子が訪れた世界遺産 (5)


文化遺産 クラクフの歴史地区

(5)中世に迷い込んだかのようなクラクフの街なみ(ポーランド) 2006. 9. 6up


 ポーランドの首都、ワルシャワ。ここからIC(インターシティ、日本でいう在来線の特急にあたる)で4時間あまり。チェコとの国境にも近いポーランドで2番目の人口をもつ南部の都市、クラクフに到着する。この都市は、ナチス時代のあの強制収容所であるアウシュビッツを訪れるときの拠点都市にもなる。アウシュビッツ(ここも世界遺産リストに登録されている)をしっかりと見るためには1日は費やされる。ワルシャワからだと、往復の交通に時間をとられて、アウシュビッツの滞在時間は数時間しかとれないことになり、これではちょっと見学の時間には不足だ。クラクフで泊をとり、朝8時頃にクラクフからバスでアウシュビッツに向かうことになる。バスの乗車時間はだいたい2時間。

↑左端の建物がバルバカン
 アウシュビッツを訪れるときの拠点ともなるクラクフだが、ここは、それ以上に、中世の街並みがそっくり残っているところとして、クラクフの中心部である歴史地区が世界遺産に登録されていることでも重要な都市だといえる。
 いまだに、街並みを取り囲む城壁が部分的に残っている。城壁内への入口がバルバカンというエントランスなのだが、現在は、街のなかには

いろいろなところから入ることができる。
 城壁を入ると、そこはもう中世。とはいっても、外見は昔の中世の建物をそのまま使っているのだが、なかはきれいにリフォームされていて、マクドナルドの店内は、日本のレイアウトとほとんど同じ。別に薄暗いということもなく、全く近代的。
 外見が中世の建物がそのまま残っているということで、街の雰囲気は中世時代をそっくり醸し出している。ことに、夜の街並みは、白熱灯によってライトアップされていることもあって、ちょっと幻想的なムードもただよう。街の中心部にある中央市場広場には、他のヨーロッパ各地でもそうだが、カフェのテーブルがたくさん出されているので、戸外のテーブルでカフェを楽しみながら、観光用の馬車が行き交う通りを眺めていると、現在が21世紀であることを忘れ、数百年をタイムスリップしたような錯覚すら起こさせてしまう。またそれがクラクフの魅力になっているのかもしれない。
 半月がクラクフの街を照らし、馬車が止まり、中世建築が白熱灯で浮かび上がる。そんな光

景をバックに、アメリカから観光でやってきたという初老の男性とツーショットに収まった。ひとりでお茶している東洋の女性?をかわいそうに思ったのか、女性一般へのアメリカ男性のたしなみなのか、私に声をかけてきた方だった。月がきれいに撮れており、ちょっと気に入った構図の1枚が右上の写真だ。
 中世のヨーロッパは広場と教会の文化なのだと思う。小さな街でも、中心部には広場があり、そこには教会があり、その場所を軸にして街並みが広がるというつくりになっている。路地は別にして、大きな道だと、そこをたどっていくと広場に到達する、という街の構造なのだ。クラクフもその典型どおりの街並みだった、大きな広場があり、そこには立派な教会が建っている。

 パリやロンドン、ストックホルムなどではほとんど見かけなかったのだが、中欧や東欧、ウィーンやプラハでは、街の辻に、バイオリンやチェロを持った人がたち、そこでクラシック音楽を奏でている姿をよく見かけた。ここクラクフでもそうだ。
 他の辻立ち演奏者の音を邪魔しない程度に離れた距離にたちバイオリンを奏でる人を街のあちこちで見かけた。まだ子どもの奏者もいる。そこから、ヨハンシュトラウスのワルツやモーツアルトのディベルティメントなど、気持ちを癒される曲が流れてくる。日本ではちょっと見かけない光景に、「わー、これがヨーロッパだあ」なんて感じ入ってしまった。