留美子が訪れた世界遺産 (1)


文化遺産 モンサンミッシェルとその湾

(1)海に囲まれるはずの修道院・モンサンミッシェル(フランス) 2006. 8.27up


 モンサンミッシェル。登録された世界遺産数で、イタリアに次ぐ数を誇るフランスなのだが、そのなかでも、多くの訪問者で賑わうところが、ここモンサンミッシェルの修道院である。
 このあたり、ノルマンディー地方の海岸は、潮の満ち干が大きく、その差が14mもあるという。干潮のときには地続きになり、満潮になると陸から孤立した島になるという場所だった。ところが、島に通ずる道を架けるために堤防を築いたところ、潮の流れが変わって砂がたまっていき、満潮になっても孤立しなくなっているらしい。私が訪れたときもご覧の通り。

 フランスを訪れた観光客にとって、モンサンミッシェルに行くのはちょっと不便だということもあって、パリからバスを仕立ててこの地までやってくる現地ツアーを利用する人が多いようだ。私は、できるだけツアーには頼らず、その国の公共の交通機関を利用して自分の足で現地を訪れるようにしたいと心がけている。私のような訪問者への指南本としては、『地球の歩き方』(ダイヤモンド社)をまずはおすすめしたい。
 パリから日帰りで行けるが、そのためには、フランスの新幹線TGVを利用する必要がある。私の場合は、今回はフランスレイルパスを日本で購入していったが、フランス以外も鉄道でガンガンまわりたいという人は、ユーレイルパスというヨーロッパの各国をまわれるパスもある。訪問の国の数とかどのくらい鉄道を利用するかということで、国別のレイルパスにするか広域のパスにするかの損得計算したほうがいいだろう。
 パリ・モンパルナス駅からTGVで2時間程度。レンヌという地方都市に到着する。1日の本数はかぎられているが、TGVに接続するかたちで、レンヌ駅を出て左手にあるバスターミナルからモンサンミッシェル行のバスがでる。パリでTGVを予約するとき(TGVは全席指定)バスの切符も一緒に買える。というより、TGVと一緒になった1枚のチケットとして発売してくれる。もっとも、バス料金は乗車時に現金で支払ってもかまわない。このバスに乗って1時間半、遠くの島にそびえる尖塔が見えてくる。モンサンミッシェルだ。
 バスは、モンサンミッシェルのまさに入口まで行くので堤防上を延々と歩く必要はない。大潮の日の満潮時には、バスが通る通路も海面下になり、バスは島まで行けず陸地の部分が終点になるのだが、最近は、堤防による土砂の堆積で、海面下になる日がぐっと減ってきたらしく、そのこと自体が問題だとなっている。

  修道院ゆえ、きらびやかな装飾はない.小さな島の中に建つ建物とはいえ、それなりの規模があった.

 そんな情報を耳にしていたら、その問題に関する特集が、2006年8月24日付の朝日新聞(朝刊)に掲載されていた。
 堤防をつくり駐車場をモンサンミッシェルの入口につくることで、訪問者にとっては便利になったが、堤防が原因で土砂がたまりだした。今後、満潮時には海の中にたたずむ元々の姿にもどすため、堤防を壊し、海水が行き来できる橋にするという。駐車場は陸地部分につくり、そこから入口までは、徒歩か専用バスで行くかのシステムにするというのだ。2012年に完成するという6年がかりの工事になるという。工事になるとはいえ、モンサンミッシェルが閉鎖されることはないようだ。実際、今年(2006)の6月から工事がスタートしたようだが、今はバスも入口まで普通に行けて、個人の駐車場も満杯状態であった。

現在も現役の修道院として使われている.敬虔に祈る修道女の姿を見かけた.

 修道院上層部にある列柱は、柱が二重になっていて、それが中央の庭を囲むように建てられている。なかなか美しい。その柱の間から尖塔を見上げることができるので、訪問者は、ここぞとばかりに写真を撮っていた。
 日本人とおぼしき男性の人で、高級そうな一眼レフカメラを構えて、列柱をひたすらに撮っている方がいた。
 私ははじめは、列柱にはそれほど関心を引かなかったのだが、列柱を懸命に撮っている様子をみて、あらためて見直してみた。そうするとなかなか美しく見えてくるではないか。二重の列柱が庭を取り囲んでいる様子は、この修道院の特徴なのかもしれない。

 ちなみに、モンサンミッシェルは、大天使ミカエルのお告げで708年に最初の礼拝堂が建てられ、その後、増改築が重ねられたという。
 1979年に、取り囲む湾の海も含めて世界遺産(文化遺産)に登録された。