2002年1月26日付 毎日新聞
写真入りで掲載された記事
「父親」と「女性」を行き来
〜 性同一性障害の高校教諭 〜
本名で性同一性障害を公表した執行一実さんの記事(7日付)を読み、「私も同じ」という手紙を送ってきたのは、東京近郊に住む公立高教諭、宮崎留美子さん=ペンネーム。ただ普通の女性と結婚し、1児の父親でもある。毎週土曜日だけ女性の衣服をまとい、「二つの性」を行き来する生活を送っている。
中学生ごろから化粧をし、高校では放課後、女性の格好で外出した。当時は「自分は異常」と思い悩んだ。
「結婚すれば治るかも・・・」。13年前、見合い相手の女性と結婚。妻の希望で1児をもうけた。それでも「女性」へのあこがれを断ち切れず、妻にも女装を知られた。妻になじられ、近くのアパートに女装道具を移した。ただ日曜は必ず自宅で子供と過ごした。父親の役割を果たすことで、妻は夫の秘密を黙認した。2役を綱渡りして心のバランスをとる生活。
「女性としてフルタイム生きたい。でも私には家族を守る責任もある」と宮崎さんは言う。
98年、埼玉医大での性転換手術で、識者の「障害を子どもに正しく伝えられる教師が少ない」という新聞談話にハッとした。宮崎さんは生徒と同僚に障害を公表した。
ペンネームで手記を出版した。「当事者で教壇に立つ自分だからこそ、堂々と語り伝える責任がある」と思っている。 【清水優子】