2004夏 ヨーロッパの過去と現実をみる(2)

ヨーロッパ、鉄道の旅

 ヨーロッパは鉄道が発達している。オランダ、ドイツ、ポーランド、チェコといった、いわゆる中欧は土地も平坦であるため、網の目のように鉄道網がある。とくに技術立国のドイツでは、ドイツ技術の粋を集めたインターシティエクスプレス(ICE)という超特急が縦横に走っている。
 西ドイツ国鉄と東ドイツ国鉄が統合し民営化され、DBという鉄道会社がドイツの鉄道輸送を担っている。
 ヨーロッパの高速鉄道は、フランスのTGVや、ユーロトンネルを走り抜けるユーロスターもそうだが、機関車が客車を牽引するという方式をとっている。ICEもそうなのだが、左の写真に写っている最新のICE−3は、日本と同じ電車方式なのではないかと思われる。
 残念ながら、私は、ICE−3には乗れなかった。乗ったのは、機関車牽引型の従来型のICEだった。

 上の写真は、アムステルダム中央駅で撮したものである。アムステルダムとドイツのフランクフルトを結んでいる。私はこの間は航空機を利用したため、残念ながら、私が乗ってきたものではない。
 ICEに乗ったのは、ベルリンからフランクフルトに移動するときで、これは、従来型の機関車牽引方式のICEだった。右の写真が、私が乗ってきたICEである。ICE−3とのちがいがおわかりだろうか。先頭車両は窓がほとんどない。これは機関車となっているからだ。TGVもユーロスターもこの形式だと思ってほしい。
 ヨーロッパの高速鉄道は、日本の新幹線のように、専用線をつくって、高速鉄道だけを走らせるやりかたではない。在来線も、その軌道は、日本の新幹線と同じく広軌であるため、在来線と同じ線路を走ることになる。ただ、一部は専用線を敷いているということらしい。
 したがって、速度は、日本の新幹線のように300キロというわけにはいかないようだ。体感速度は、日本の新幹線よりは遅く感じた。

 私が乗ったICEの車内で撮ったものが、上の2枚。事前に日本でレールパスを買っていった。価格が大きくはちがわなかったため、1等(ファーストクラス)のパスを買っていった。左の写真は1等車内のもの。新幹線幅に3席しか設定されていないため、かなりゆったりしていた。日本ではグリーン車などに乗ることはないのだが、旅行のときぐらいは豪華にとの気持ちで1等にしたのだが正解だった。
 右の写真はICEの食堂車。ジャガイモとチキンのトロトロのスープにパン、そしてコーヒー。食事自体は質素なものだが、これでけっこうお腹はふくれる。

 上の写真は、ポーランドのワルシャワ中央駅。これから、ポーランド南部の都市であるクラクフに向かう。午後7時ごろに撮したものだ。アウシュビッツを見学するためには、どうしてもクラクフで宿をとり、翌朝早く、オシフェンチウム(アウシュビッツ)に向かう必要がある。
 レールパスは1等なので、右の写真も1等車内のものだ。従来のヨーロッパに多いコンパートメントタイプの座席だ。向かい合わせで6人が1室に設定されている。通路は車両の真ん中ではなく片サイドになる。座席の幅はゆとりはあるが、あまり豪華な座席ではない。1等のイメージでいたため、車両が古くさかったのがイメージはずれだった。旧共産圏の列車は、あまりきれいな最新型は少ないように思える。

 アウシュビッツを見学し、世界遺産にも登録されているクラクフの街とバベル城を見て、ヨーロッパ中世の歴史のひとコマを学んだあと、今度は、クラクフからウィーンへ向かうことになる。
 クラクフからウィーンへは1日2本。昼間だと、その1日が移動だけで終わってしまうため、時間を節約する意味から、夜行の寝台列車を利用することにした。日本では、とんと乗らなくなった寝台列車。なんだか風情がありそうでワクワクする。
 1日前、駅で予約した切符は、1室1人の個室寝台。
 ガイドブックで読んだユーロナイトの個室には、シャワーやトイレがあるというような記述があったため、けっこう期待していた。・・・・うーん、これは期待を裏切られた。
 要するに、1室6人で3段ベッドの部屋を1人で独占させる、これが個室寝台の意味だったのだ。がっかりだったが、これが、東欧圏の列車のあり方なのだろうと、郷には入れば郷に従う気持ちで、ともあれ納得して眠りについた。国境を越えるとき、車内でパスポートコントロールがあるのだが、今回の旅行ではこのときだけ一悶着があった。その詳細は別の稿で書こうと思う。

 

 左上の写真は、オーストリアのウィーンからプラハへ向かうとき、ウィーン駅で、EC(ユーロシティー)と一緒に撮ったもの。ECというのは、空調設備があることだとか、座席の質が一定基準よりいいだとか、あるレベルを超えている列車が名乗ることができるとのこと。ちなみに、ヨーロッパの列車は基本的にはエアコンはついていない。東京の山手線にあたるような近郊電車には、たとえばベルリンのような豊かな地域であってもついていない。ヨーロッパの気候は、夏の昼間、直射日光があたるところでは、やはり暑いが、湿度は低くカラリとしている。夜ともなると、けっこう涼しい。日本でいうと、札幌の気候に似ているかもしれない。蒸すという感じではない。だからエアコンなどは必要ないのかもしれない。ちなみに、中級クラスのホテルにもエアコンはついていない。
 右上の写真は、チェコのプラハからドイツのベルリンへ向かうときに乗ったEC。到着したベルリン(ツォー駅)で撮したものだ。このように、機関車が牽引するというパターンが、ヨーロッパ鉄道の基本だと思ってほしい。もちろん、近郊電車は、電車形式だが、日本でいうと、やや距離がある東海道線とか宇都宮線などにあたる列車は、機関車で牽引するものが走っている。

 ドイツやオランダを流れる国際河川はライン川。中流域では、ブドウの栽培が盛んな果樹農業でありワインの製造が盛んな地域である。河口はオランダのロッテルダム。ユーロポートという港湾がある。観光船とともに、荷物を積んだ船がライン川を行き来する。ドイツ領内にオランダ国旗をつけた船が行き交っているのを見るのもめずらしくない。
 このライン川には、その両岸を線路が通っており、片方の岸の線路は、ICEなどの優等列車が行き交うメイン路線。もう一方はローカル路線と考えればいいだろう。
 ブドウ栽培が盛んで、ドイツワインの有名な産地のひとつであるリューデスハイムは、ローカル線の側にある。左側の写真は、リューデスハイムからフランクフルトに向かうとき、ローカル列車の1等車内で撮ったものである。
 やはり、向かい合わせで6人のコンパーメントになっている。こちらの方は、各駅停車の列車であるにもかかわらず、ポーランドからクラクフに行くときに乗った急行列車よりも座席はきれいだった。さすがドイツ。