No.100 航空会社のあれこれ

今回はエッセイ100話めということで、閑話休題もかねて、肩の力を抜いた軽めの話題です


 日本から海外に行くときには、ほとんどにおいて航空機を使うと思います。成田空港から飛び立つ航空会社はいくつあるのでしょうか。かなりの数ありそうです。成田空港に行くと、見たこともないようなマークの航空機を見かけたりします。
 今回(2005年年末から2006年年始にかけて)、成田からロサンゼルスに行くとき予約した航空会社はシンガポール航空でした。実は、シンガポール航空は、航空会社の人気ベストテンにいつも上位で顔を出す常連さんなのです。上位というより1位で顔を出すことがほとんどじゃないでしょうか。サービスがいいということと、使用機材の平均機齢が若いという理由が挙げられるようです(つまり新しい機材だということ)。5,6年の平均機齢だとされています。
 今回乗ったのはジャンボジェット機なのですが、これはボーイング747。747は20年以上前に登場していますが、外形のデザインは同じものの、中身はバージョンアップされているようなのです。今回乗ったシンガポール航空のジャンボは、中はなかなかきれいで、エコノミークラスでも1人1人にテレビのディスプレイがついています。数年前に乗ったエア・インディア(インド航空)のジャンボ機は、室内に入ると、けっこう使い込まれたような印象を持ったことがありました。同じ種類の機材でも、つねに新しい機材を使っているのでしょうね。
 
※(帰り・ロサンゼルス→東京)左側が1回目・和食をチョイス、シンガポールスリングもありますね.右側は2回目の機内食、チキンとマッシュポテト.

 サービスもなかなかよくて、機内食は、これまで乗った航空会社のなかでは、もっともレベルが高いと思いました。東京からロサンゼルスの便は、食事は2回出るのですが、途中も、おやつや飲み物のサービスがあったりします。エコノミークラスでもなかなか美味しい料理がでるのはうれしいですね。
 また、シンガポールで生まれたカクテルであるシンガポールスリングも、言えばサービスしてくれます。機内でいただいたシンガポールスリングは、アルコール度を落としてあることもあって実に飲みやすく、おかわりしてしまいました。きれいなルビー色のシンガポールスリングは、シンガポール航空とともに、私の思い出の中にしっかりとインプットされています。

 サービスもよく機材も新しく、いうことなしの航空会社なのですが、東京−ロサンゼルス間はけっこう安い航空会社なのです。アメリカ系のユナイテッドやノースウェストより安いようです。これにはからくりがあります。
 シンガポール航空のロサンゼルス便は、シンガポールから東京・成田までやってきて(つまり成田経由ということ)、成田からロサンゼルスに飛び立つ便なのです。この場合、シンガポールと東京・成田間の路線でしっかりと稼ぐわけです。この間の航空料金は、他社に比べて安くありません。次のように考えるといいかと思います。シンガポールに行くのであればシンガポール航空は割高、タイに行く場合にはタイ航空は割高、というふうに、その地と結ぶその地の航空会社の便は割高になります。ところが、東京・成田−ロサンゼルス間は、言ってみれば、シンガポール−東京・成田のプラスアルファといった路線になるというわけです。この場合は、やや安めになるようです。ちなみに、アメリカ系の航空会社でアメリカに行く場合には、その地の航空会社の利用となるため、やや高くなるということでしょうか。逆に、アメリカ系のノースウェスト便で、東京・成田からタイのバンコクに行く場合には、ロサンゼルス−東京・成田のプラスアルファとなるわけですから、割安な航空券を販売するようです。

 
※(行き・東京→ロサンゼルス)左側が1回目・洋食をチョイス、食事の飲み物は白ワイン.右側は2回目の機内食、オムレツとクロワッサンがでました.

 さて、航空会社のことで、販売戦略の複雑さから起こるおもしろい現象を紹介します。
 今回のフライトのことではなく、昨夏のこと。東京とイタリアのローマを往復するのに利用した航空機のことです。
 イタリアに行くということもあって、アリタリア航空というイタリアの航空会社のチケットを予約したつもりでした。予約した便名はAZ−7789。AZというのはアリタリア航空を意味する識別記号です。だからアリタリア航空に乗るものとばかり思っていました。アリタリア航空は、成田空港の第1ターミナルから出発します。なのに、指示されたターミナルは第2ターミナルだったため不思議に思っていたのです。実は、深く考えていたら、AZ−7789の記号を見た時点で、これはアリタリア航空ではないということはわかっていたわけですが、見落としていたのです。
 航空会社には、共同運航便(コードシェア便ともいう)というのがあって、これは、自分の航空機のチケットとして販売するものの、実際に使用するのは、提携して運行している相手先の航空機材と乗務員を使うというルールなのです。
 コードシェア便かそうでないかは、それは便名をみるとわかります。
 航空会社の識別記号のあとにくる数字が3ケタの場合(2ケタということもある)、これはコードシェア便ではなく、実際に、その航空会社のものを使うということです。今回乗ったシンガポール航空は、行きはSQ−12、帰りはSQ−11。正確に書くとSQ−012,SQ−011となるようなので3ケタということになります。SQというシンガポール航空を表す識別通りの機材と乗務員の航空機ということになります。一方、AZ−7789は4ケタであり、これは、アリタリア航空機を使わないコードシェア便だということを意味するのです。
 では、実際には、どこの航空会社のものが使われたか。実は、日本航空なのでした。全く同じ時刻のローマ行き出発便のものにJL−409というのがあります。これが日本航空の便を表しています。JLは日本航空の識別記号
※ちなみに、全日空はNH(ニューハーフじゃないよ・笑)、タイ航空はTG(トランスジェンダーじゃないよ・笑)
 JL−409という日本航空の便に対して、提携するアリタリア航空がコードシェア便として、自分の便名をつけてチケットを売り出すという、航空業界の販売戦略があるのです。
 実際には日本航空に乗れたわけで、これはラッキーでした。機内で見るビデオのプログラムなど、日本語のものが中心で、また、日本の新聞や雑誌がたくさんおいてあることや、乗務員が日本人であるため言葉の問題の不安がないことなどがラッキーだということです。それに、奇怪なことが起きます。
←ロサンゼルス空港にて.これから乗っていくシンガポール航空を背景にしたショットです.

 実は、日本から海外に行くとき、日本の航空会社の便は、航空運賃が割高なのです。この事例でいうと、日本航空の方がアリタリア航空より割高だということ。ところが、私は、アリタリア航空のチケット(AZ−7789)を購入したわけです。日本航空の便ではありません。しかし、実際は日本航空の航空機に乗ります。もし私が、最初からJL−409のチケットを買っていたとすれば、たぶん、1万円以上は多く支払っていなければならなかったでしょう。だからトクしたともいえるわけです。
 販売戦略の複雑さを利用して、うまくコードシェア便を使って、割高な航空会社の機材を安く乗るという手を工夫することだってできるかもしれません。
 ただ、難点が1つありました。
 アリタリア航空はスターアライアンスメンバーのグループで、全日空と同じグループです。ちなみに、シンガポール航空もこのグループ。スターアライアンスメンバーの航空機に乗れば、全日空のマイレージに加算できるのです。ところが日本航空はスターアライアンスメンバーではありません。アリタリアのチケットだからといっても、全日空のマイレージには加算できませんでした。(今回のシンガポール航空はコードシェアではないので全日空のマイレージに加算できました)
 本当に、航空会社選びも、マニアックに深めれば、いろいろとありそうですね。