No.91 一般の人とマイノリティが共生する島、ミコノス島
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エーゲ海。なんとなく美しいところ、というイメージを抱くだろう。もちろん、それは間違いではない。確かに、降りそそぐ陽光と碧い海は、ヨーロッパ人の憧れのところでもある。
エーゲ海は、ギリシアとトルコの間に広がる海なのだが、そのエーゲ海の真ん中あたりに、キクラデス諸島という島々が浮かんでいる。ミコノス島は、そのキクラデス諸島の中心ともなっている島である。真っ白の漆喰で塗り固められた家々の壁、そして、青く塗られた扉や窓、青い屋根の教会。背景の海は、エーゲアンブルーと呼ばれている、どこまでも碧い海。もう、どこをとっても絵葉書になる光景ばかりだ。
しかし、この島から学ぶことは、もっとある。
真っ白な壁がつづく家並みに、青い屋根の教会。これは本当に絵になる。
海岸はけっこう風か強く、髪が乱れてしまった
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ミコノス島は、景色がすばらしいだけではない。ヨーロッパ中からゲイの人たちが集ってくる島としても知られる。ゲイの人たちだけが集まっているわけではない。普通の異性愛者のカップルもたくさんいる。そして、同性愛者も異性愛者も、そこにいることが当たり前のように、お互いに共生し、夏を楽しんでいる。ゲイのカップルはあちらこちらにいるのだが、誰も、そういった人たちを奇異の目では見ない。当たり前のようにたたずんでいるし、異性愛者の男女のカップルも同じようにたたずむ。
しかし、概していうと、「白人が集まる島」という印象を受けた。黒人の人たちはほとんど見かけなかった。同じように、アジア人も滅多にみかけない。だから、日本人である私なんぞは、その島では希少な存在なのかもしれない。といっても、誰もジロジロと見られるようなことは全くない。
そうそう、もうひとつ、知られているのは(といっても、日本で知られているわけではない)、この島に、ヌーディストビーチが何カ所かあることだ。
朝、海岸ぞいを散歩していると、仲良さそうな、たぶんゲイのカップルが、そこここに歩いている。『この島は日本ではない。奥ゆかしく遠慮していてもだめだ。声をかけよう』と決めて、「グッド・モーニング」と話しかけていく。ヨーロッパ人はけっこう人なつっこい。すぐに会話を交わせる仲になる。写真にも快く応じてくれる。
こちらから話しかけるだけではなく、向こうから声をかけてきてくれることも多かった。まずは、対話することから国際理解は深まる。言語の壁は、身振り手振りでなんとかなる。「対話しようとする心」国際化はここから始まるといっても過言ではない。
結局、何組ものカップルの人たちと話ができた。こういった人たちが、何の屈託もなく「仲良く」歩けるのも、なかなかいい。
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ゲイの人たちは実に陽気だ。ミコノス島の中心部はミコノスタウンなのだが、ここは、夜12時はまだまだ宵の口。人々は、戸外に出してあるテーブルの周りに集って、かなり遅くまで飲んだり食べたりしている。
そして、そういったところに集ってくる人たちが、実に国際的。
ドイツ人のカップルがいるかと思えば、フランスかせ来たという数人のゲイの人たちが語りあっている。
あーーっ。女装の人を見つけたよ。
ドラァグクイーン風にドレスアップとメイクアップして、お店のステージで踊るという。
2人は、これがまた国際的。ひとりは、イタリアから来たという。そしてもうひとりは、オーストリアから、ここ、ギリシアのミコノス島にやってきたというのだ。
ギリシアは、古代ギリシア文化をひもとくと、性のことでは、けっこうオープンだった。同性愛は完全に公認されていて、そのことを隠すこともなかったらしい。そういえば、レスビアンは、エーゲ海に浮かぶ島のひとつであるレスヴォス島に由来すると聞いたことがある。
イタリアはローマ・カトリックがベースにある。現在のギリシアは、ギリシア正教会というキリスト教の一派なのだが、カトリックよりは、性のことでは緩やかなのかもしれない。
ゲイの人たちが集まってくる島、という顔の他に、もう一つの顔が、ヌーディストビーチがある島という顔がある。
ミコノス島には、ヌーディストビーチと呼ばれているビーチが何カ所かある。ここ「スーパーパラダイスビーチ」もそのひとつ。ヌーディストビーチといっても、全員がヌードでいるわけではない。実は、大半の人は水着を着ている。20%ぐらいの人たちがヌードで開放的に楽しんでいるといった構図だ。
ちなみに、卑猥な雰囲気は全くない。エーゲ海の明るい陽光の下で、実に健康的な雰囲気であった。
ガイドブックによると、このビーチは、とてもソフィスケートされていると書かれていた。ソフィスケート・・・・洗練されたとか都会的な、というような意味なのだが、また、この島に集うゲイの人たちは、おしゃれで品がいいとも書かれていた。
ガイドブック※を読んだときにはどういうことを言っているのかなとピンと来なかったのだが、実際に見てみると、なるほどねと感じたものだった。つまり、江ノ島あたりの湘南海岸で見かけるような、ギャル、コギャル、ボーイズなどのような人はほとんどいなくて、実に、大人のムードがあふれている。もっとも、家族連れで、子どもを連れている人たちも見かけるのだが、湘南海岸のような「ナンパ海岸」といった風情は全くない。「ナンパ海岸」の方が、よほど卑猥だともいえるのかもしれない。
性の問題は、下手に隠すことで、卑猥さが増していく。明るくオープンに語り振る舞うことは、実は、とても健康的なことなのだと、このビーチを見て考えさせられたことだった。
※「地球の歩き方(ギリシア編)」ダイヤモンド社
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