No.60 世田谷区議・羽田/田中 両議員の議会質問
世田谷区議・羽田圭二さん、田中優子さんの議会質問 世田谷区の区議会議員に羽田圭二さんという方がいらっしゃいます。このかたが、「選挙投票所入場券の性別欄廃止について」という内容で議会質問し、選挙の入場券から性別欄をなくすという方向性をすすめることになりました。また、別の議員さんである田中優子さんがもとめた「印鑑証明証の性別欄廃止」も含めて、手続き事務において性別欄廃止を全庁的に検討するよう求めていきますという羽田圭二議員の姿勢を表明されています。
なお、世田谷区議の田中優子さんは、タイで生活されたようです。田中さんがタイで感じられたことと、私がタイで受けとめてきたことは、ほぼ同じようだと思いました。タイのトランスジェンダーについて感じることが、私と田中さんと似ているということで、タイでは、セクシュアルマイノリティが広く受け入れられているということはまちがいないと思います。タイで学びえたことを、区議という日本の自分の持ち場で生かそうとする姿勢に私も学び、私も、自分の持ち場である教師という場で、タイで体験したことを生かしていきたいなと思いました。
お2人から、そのときの状況を再現していただきましたので、収録させていただきます。
2003年3月 選挙投票所入場券の性別欄廃止について 羽田圭二
世田谷区議会議員の羽田圭二です。区議会第1回定例会が3月28日終わりました。今回の議会では、予算特別委員会において、性同一性障害の方々の訴えにより、選挙投票所入場券の性別欄については廃止できるのではないかと質問しました。
すでに、区は印鑑証明証の性別欄廃止を行なうとしていました。今回の質問で、次期統一自治体選挙には間に合わないものの、今後は廃止することが可能としました。
引き続き、手続き事務において性別欄廃止を全庁的に検討するよう求めていきます。
2003年3月 予算特別委員会での発言内容【区民生活】 田中優子
※元原稿ですので議事録とは多少異なっている場合があります
1月23日に、私の元に「多くの議員の方々に知っていただきたくメールさせて頂きました」というタイトルで、「性同一性障害」と診断された方からメールが届きました。区議会議員の方々は皆さん読んでいらっしゃることと思います。
先月末、朝日新聞に「世田谷区議選に性同一性障害の方が立候補へ」という記事が大きく載り、話題になっているようですが、今回の私の質問はその方とは全く関係なく、私のところに届いたメールの切実な声を、人権問題の視点からとらえ、区でできる改善策を考えなければいけない、という立場でさせて頂きます。「性同一性障害」というのは、「体と心の性が一致せず、体の性が間違っていると確信している症状」と、医学的にも認められていて、98年10月から、埼玉医大で、正式な治療行為として性別適合手術が始まっています。最近ではテレビ番組やマスコミでもとりあげられるようになり、少しずつ世の中にも知られてきたのではないかと思います。
しかしながら、日本ではまだまだ「性同一性障害」に対する理解は不足していて、偏見が非常に強いのではないかと感じます。率直に申しますと、悪趣味だとか変態だ、と誤解していたり、理解不能、気持ちが悪いと思っている人が多いのではないでしょうか。私は、以前、東南アジアのタイに住んでいたことがありますが、タイという国は大らかな国民性のせいなのか、「性同一性障害」の人が大勢、カミング・アウト、つまり公表しています。一時期は「オカマボクサー」という強い選手が日本でも話題となりました。「オカマショー」なども有名です。オカマというのは差別用語かもしれませんが、あえて、現地で使われている言い方をさせて頂きました。バンコク市内では、普通のお店やレストランで働いている人の中に、そこここで「性同一性障害」の方を見かけることがありました。私は、タイにいた時、タイの大学と日本語学校とで日本語の講師をしておりましたが、日本語教師仲間にも、学生の中にも、そういう方がいました。多分これは、頭で理解しようとしても大変難しく、言い方はよくないかもしれませんが、慣れ、が、一番なのだと思います。私自身は、そういう環境があって慣れているせいか、自然に近い形で理解できていると思います。
また、以前、当事者の方にお話を伺ったことがありますが、障害、というか意識のレベルというのは100種類でもわけ切れないくらい色々あって、例えば、男性の姿のままでも心だけが女性として生きられればいいという人、お化粧とか女装をすればOKである人、ホルモン治療を受けたり、体も全部性転換しなければ生きていけないという人、などなど、本当に複雑なのだそうです。そしてこの症状は男性だけではなく、女性にも現れます。
彼ら、彼女らが、生活している中で、どういう問題が起きているかというと、実際の性別と容姿や体の性が一致していないために、アパートが借りられない、役所での手続きなどで本人と認めてもらえず時間がかかり、話したくないことまで話さなければならず苦痛を強いられる、好奇の目にさらされる、就職の際、戸籍の性別が邪魔をして就労できなかったり、正社員になれなかったり、社会保険に加入させてもらえなかったりする、選挙に行く際にも性別の欄を見られたくない理由から足を運べない、愛するパートナーがいても婚姻できないため将来的孤独や不安を感じる、治療のほとんどが保険適用外なので経済的負担が大きい、等々、本当に大変な問題を抱えています。これは、人権に関わる問題だと思います。
私は、こういう切実な声を受けて、では、区で改善できることは何だろう?と考えました。他の自治体の例を見てみますと、ずいぶん動きが出てきているようで、例えば、小金井市、新座市、草加市、鳥取市、などにおいては、役所が扱っている書類から、記載する必要のない性別を削除する、という見直しが図られています。戸籍や住民票も本来なら変えるべきだと思いますが、これは国の法律の問題となってしまうので、今日は区民生活領域の質問ですから、一つの例として、印鑑登録証明書と申請用紙について伺います。これらには男女の記載があるわけですが、どうしてもその性別の記載というのは印鑑証明をとるのに必要なものでしょうか?もし必要でなければ、まずは、できるものから、世田谷区でも改善を図って行くべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。見解を伺います。今、印鑑条例の改正に向けて前向きに検討していく、という、大変積極的な答弁を頂き、嬉しく思います。必要のないことで、不都合や不愉快な思いを強いられている人がいるとしたら、直していく、改善していく、という態度こそが、人権を大切にしている自治体であるということの証だと思います。
そして、世の中の動きや流れを見てみますと、この問題は、区民生活領域にとどまらず、全区的、全庁的に理解を深めていくよう啓発すべき課題である、と、私は思いますが、世田谷区としては、どのような見解をもたれているか、お答え下さい。